
(´・ω・`)ネタバレの可能性があります(´・ω・`)
原田ひ香作品を拝読するのは、「東京ロンダリング」に続き2作品目。 表紙のコーヒーカップと「アイビー・ハウス」というタイトルに惹かれて図書館でジャケ借りしました。
二組の若い夫婦が、一軒の中古の二世帯住宅を共同購入し、シェアハウス生活をはじめて5年。 夫婦だけで都市圏の一軒家を購入するのは負担が大きいけど、二家族で折半して共同購入し、共通の出費や公共料金も共同財布から折半、経済的な負担は二分の一になり、また二世帯住宅なのでお互いのプライバシーも適度に保てて楽しいことは一緒に楽しもうという、アイデアとしてはいいこと尽くめの新しいライフスタイル。
・・・と、当初はうまくいっていたシェアハウス生活も、ある小さなきっかけから少しずつ綻びを見せ始め、今まで気づかないふりをしていた小さな齟齬がしだいに広がっていき、やがて「うまくいっていた」アイビー・ハウスの生活も二組の夫婦生活も、雪崩のように崩れていく。
まぁ結婚していない私が上から言うのもなんですが、親との同居ですら難しいのに、否、夫婦の共同生活ですらうまくいくのは難しいのに、もともと旦那さん同士が親友だったという親しい関係だったとしても二組の夫婦が一つ屋根の下に住むって、かなり無理があるんだろうなぁ~と思いました。 特にこの二組の夫婦、基本的にライフスタイルや価値観が違い、経済的にも微妙に格差がある中で、知らず知らずのうちにかなり鬱屈を抱えていたのではないかなぁと。 賃貸でシェアハウスではなく、いきなり一軒家共同購入というのは冷静に見たらかなり無理していたんでしょうね。
そもそもこの中古の二世帯住宅、二世帯住宅のくせに風呂が一つしかないというのは設計ミスじゃないかと(笑) 二世帯住宅なら、キッチンバストイレは別々じゃないとたとえ親子の暮らしでも微妙に遠慮したりしないといけないような・・・ まぁ、予算的なものもあるので、こういうパターンもあるのかな。 でも、片方の妻がもう一方の妻に「抜け毛が多いんですね」と排水溝にたまった髪の毛のことを言われるシーンは、読んでいるこちらがドーーーーンと落ち込みました(笑)。 抜け毛が多いことを心配しているのか、それとも風呂の手入れをちゃんとしろよとイヤミをいわれているのか、善意なのか悪意があるのか、小一時間以上悩みそう。 まぁ、そういうことにクヨクヨしてしまう私は、シェアハウスは決定的に向いてないんだろうけど。
それほどボリュームのない本でさらっと読めるのですが、全編通して暗く不安感を抱くというか、メンタル的に弱っているときに読んだらどんどん落ち込みそうな気分になりそうだなぁという、ちょっと不安定な気分にさせられるストーリーでした。 主人公4人(二組の夫婦)が破滅に向かっているんだろうなぁと予想できるというか。
でもこういう特殊な設定の人間関係を描くのは、この作家さんの上手いところ。 「東京ロンダリング」でも、賃貸の事故物件に一定期間住むことで書類上事故物件でなくすためだけに雇われ住居を転々とする女性が主人公でしたが、読者としては「ふむ、こういう世界もあるのだなぁ」と考えさせられました。 シェアハウスにしろロンダリングにしろ、衣食住の「住」の部分が特殊な暮らしは何らかのストレスがかかるようで。
主人公夫婦たちは30代というライフスタイルの激動期にシェアハウスという特殊な形式を選んだために破綻という結末を迎えてしまいましたが、これって逆にシニア世代になってからだったら結構うまくいくのかも・・・とも思いました。 子どもが自立した後の老夫婦や、リタイアした独身者など、たまに顔を合わせながら生存確認(笑)しながら暮らすというのは心強いところもあると思うし、また現在問題になり始めている空き家の有効活用やコンパクトシティの観点からも良いのでは。 経済的に不安はあるが、まだまだ体は元気というシニア世代は、いきなり特別養護老人ホームへは入れるわけもなく、ワンクッションとしてこういうライフスタイルもあってもいいのではないかと。
まぁ、それはこの作品とは全然関係ないことですが(笑)。
いろいろと考えさせられる話でした。 ところで冒頭で登場した、謎の女の正体が結局よくわからないまま・・・ まあだいたい予想はつくのですが、結局彼女はなにをしたかったのか。 結果的にアイビーハウスを破たんに導くトリガーとなったのですが・・・ でもこういうことはよくあるかもしれません。 まったくの他人のちょっとした言動が、誰かの大切にしている者を破壊してしまう。 そんな怖さも感じました。 |